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ニューダンガンロンパV3 終章 『 みんなのコロシアイ修了式 』 の考察


6章開幕から学級裁判後までの考察。


※ネタバレ注意!!


ニューダンガンロンパV3 1章 『 私と僕の学級裁判 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 2章 『 限りなく地獄に近い天国 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 3章 『 転校生オブザデッド 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 4章 『 気だるき異世界を生かせ生きるだけ 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 5章 『 愛も青春もない旅立ち 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 6章 『 さよならダンガンロンパ 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 終章 『 みんなのコロシアイ修了式 』 の考察

+ + + + + + + + + +
第6章 さよならダンガンロンパ


1.5章を終えて





 残り5人。主力だったAランクの百田と王馬が退場しました。これで残るAランクは最原と白銀だけ……のはずでしたが、5章の最後でアンテナの折れたキーボがAランクにランクアップしています。6章開幕からモノクマたちと互角の戦闘を続けるキーボは、“超高校級のロボット”としてAランクの位置にいるという評価です。王馬は学級裁判をモノクマの思い通りにさせませんでした。百田はおしおきをモノクマの思い通りにさせませんでした。そして今はキーボが才囚学園をモノクマの思い通りにさせていません。果たして、最原たちは才囚学園から首謀者の情報を得ることができるのか? コロシアイを終わらせることができるのか? ついに最終章の開幕です。


2.1章の事件の再審理

 キーボとモノクマたちによって戦場と化した才囚学園を、みんなで捜査することになります。首謀者の情報を得て真実をつかみたい最原と最原を嘘の結論へ誘導したい白銀。最原は春川や夢野、キーボの協力で必要な情報を集め終わり、モノクマにコロシアイを終わらせるための最後の学級裁判を開くよう求めます。学級裁判では1章の事件を振り返ることになり、天海が“超高校級の生存者”であったことや赤松の事件が冤罪であったことを明らかにしていき、そして議論はついに首謀者の正体へと移ります。白銀は真実を暴かれることを嘘でかわしたいところですが、最原がそうはさせてくれません。追い詰められた白銀は、完全に沈黙してしまいます。


3.江ノ島盾子53世

 最原はついに首謀者である白銀を仲間からパージすることに成功しました。そして、さらに江ノ島盾子の姿をとった白銀の嘘を、最原は次々に論破していきます。しかし、それは白銀にとって想定内の事態でしかありませんでした。最原がクライマックス推理を披露している間に、白銀はすでに今後のシナリオを考え終えていたのです。


4.白銀つむぎ





 首謀者としての正体が暴かれた“超高校級のコスプレイヤー”白銀つむぎ。百田と王馬という人間観察の二大エキスパートの目を最後まで騙し切ったのだから、白銀が首謀者として超優秀なのは間違いありません。さらに、白銀の超優秀さは、5章での百田や王馬とのAランク同士の戦いにおいて表れています。百田の勘に対しては、悪意のある行動を一切控えて、百田がいなくなってから悪意のある思い出しライトを準備しました。王馬の嘘に対しては、騙された振りをしながら状況を見守り、後で思い出しライトを使ってみんなをコントロールしました。白銀には百田ほどの直観も、王馬ほどの大局観も、最原ほどの推理力もありません。それでも白銀は状況判断力でなら三人を圧倒します。勝算のない戦いには決して挑まず、確実に実行可能な計画を立てた上で、必要なタイミングに最低限のリスクで迅速に行動する。百田や王馬のような派手さはありませんが、白銀の戦い方は決して侮っていいものではありません。最小限の介入しかしていないにも関わらずここまでコロシアイが五度行なわれてきたという実績は、正しく評価されて然るべきです。

 しかし、そんな地味に凄い白銀も、今や後がないほど追い詰められています。Aランクの探偵である最原は、この学級裁判における最強の存在です。王馬の命懸けの嘘をすら上回る最原の推理力を前に、白銀の嘘や思い出しライトの記憶はもはや意味をなしません。そして、だからこそ、白銀がこれからとる行動が予測できてしまいます。白銀の実力で実行可能な最善にして唯一の最原対策。それは、4章で最原を完封した王馬の手法を“模倣”することです。

 1章の考察で軽く触れましたが、Aランクの白銀はモノクマと才囚学園のバックアップを受けることで一時的にSランクへとランクアップできるのです。4章においてAランクの王馬が大量の“事件の真実”で一つの嘘を覆い隠してBランクの最原を騙したように、Sランクの白銀は大量の“コロシアイの真実”で一つの嘘を覆い隠してAランクの最原を騙すことができます。つまり、これ以降の白銀の言うことは一つの嘘を除いて全て真実であり、最原はその噓に決して気付くことができないのです。


5.コロシアイの真実

 希望ヶ峰学園も未来機関、絶望の残党もこの世界には存在せず、全ては『ダンガンロンパ』というフィクションの中の出来事であったこと。このコロシアイは平和な世界の人達の娯楽であったこと。ダンガンロンパはフィクションで塗り固めた世界で行われる現実の命を使ったコロシアイ──“究極のリアルフィクション”であること。今回のコロシアイでダンガンロンパは53作目になること。首謀者は白銀でも、黒幕はコロシアイを望む外の世界の人達で、このコロシアイを運営しているのはチームダンガンロンパというちゃんとした運営会社であること。自分たちがコロシアイをするためだけに生み出されたフィクションの存在でしかないこと。元々は“超高校級”の才能なんて持たない普通の一般人だったこと。才能だけでなく、性格や生い立ちや家族構成や思い出や何もかもが“思い出しライト”で作られたフィクションの設定でしかないこと。自分たちで望んでこのコロシアイに参加したこと。赤松の信頼や百田の病気、春川の想いすらも設定だったこと。

 白銀とモノクマによって残酷すぎる真実を一気に突き付けられて、最原たちは為すすべなく戦うことを諦めてしまいます。


6.キーボ





 力持ちのおじいさんほどの腕力と一般的な高校生並みの知力を兼ね備え、激しい運動には腰に不安がある“超高校級のロボット”。全く役に立たなそうなスペックであったにも関わらず、これまでの学級裁判では合理的判断や各種機能で事件の解決に貢献し、6章では自らを改造することでモノクマやエグイサルと互角の戦いを繰り広げ、学級裁判の直前では顕微鏡並みの視力でモノチッチの姿を確認するという活躍を見せます。そして今、この絶望的状況を救済すべく、キーボが“超高校級の希望ロボット”として覚醒しました。Aランクのキーボは、視聴者の応援を受けることで一時的にSランクへとランクアップできるのです。これで首謀者の白銀と互角の実力になりましたが、“希望”では白銀にダメージを与えられません。白銀はこのコロシアイを盛り上げるために最初から“希望”と“絶望”の戦いになるよう誘導するつもりだったからです。白銀がこの学級裁判の決着方法に提案した特別な投票は、“希望”と“絶望”のどちらが勝とうとも残酷な未来の待つものでした。しかし、それでも決して“希望”を諦めようとしないキーボに対して、一時的にSランクへとランクアップした最原がキーボの“希望”を否定します。


7.最原終一





 成長する“超高校級の探偵”。中性的な容姿と弱気な態度、仲間と協調するスタイルから頼りない印象が強いのですが、Aランクとなった5章以降は前々作の“超高校級の探偵”である霧切響子と同格の存在になります。Eランクだったキーボの一般人並みの視力がAランクになることで顕微鏡並みに跳ね上がっていることから、最原の推理力も同じく数十倍に跳ね上がっているのでしょう。実際に今の最原なら、推理できる証拠や証言さえあればAランク以下の謎や嘘を必ず見破ることができます。

 その最原を大量の残酷すぎる真実によって絶望させたSランクの白銀はさすがでしたが、キーボや春川が“絶望”に立ち向かったことが最原に勇気を与えてくれました。そして、この“絶望”が真実によるものなら、それに立ち向かうSランクの武器は1章で赤松から託されています。赤松もまた百田や王馬と同様に勝てないまでも負けてはいなかったのです。白銀にとって間違いなく最善手だったはずの最後の一手が、最原が赤松の言葉を思い出すことによってにわかに悪手へと変わります。この先の運命を選び取るための判断材料は、死んでいったみんなの想いの中にあったのです。







 チームダンガンロンパや外の世界の人達は、“希望”も“絶望”も、それ以外のあらゆる答えをもシリーズの一つのテーマとして許容するのだから、ダンガンロンパを終わらせるためにはゲームへの参加を放棄する以外にありません。最原は夢野と春川にも真実のその先にある自分の結論を信じて“一緒に命を使ってくれるよう”望みます。ちなみに、これは5章学級裁判で仲間に真実のその先にある自分の結論を信じて“一緒に命を懸けてくれるよう”望んだことに対応しています。Aランクの最原は、みんなの想いを背負うことで一時的にSランクへとランクアップできるのです。最原は赤松と百田の言葉で春川の心を動かし、春川は百田の言葉で最原の背中を押す展開が熱い!

 あと、最原が“希望”の残酷さに気付けたのは白銀が最原を最弱から成長していく設定にしたからであり、これは王馬を臆病すぎて友達を作れない設定にしたために王馬が首謀者を乗っ取る計画を実行できたことと百田を病気の設定にしたために百田はモノクマを騙す王馬の計画に乗るしかなかったことに対応しています。コロシアイを盛り上げるための設定のはずが、皮肉にもコロシアイを終わらせる切っ掛けを作ってしまったのです。


8.外の世界の人達

 “希望”も“絶望”もない結末を受け入れられない外の世界の人達によってキーボの人格が奪われてしまいました。しかし、最原はこれを逆にキーボの作ってくれたチャンスだと受け止めて、キーボを通して外の世界との対話を試みます。コロシアイを終わらせたいSランクの最原に対して、コロシアイを終わらせたくないSランクのキーボとSランクの白銀。キーボを通じて外の世界の人達をこちら側に引き入れることができなければ、最原たちに勝ち目はありません。


9.最後のおしおき

 結果は全員の投票放棄となりました。これはコロシアイを終わらせたかった最原たちにとって実質的勝利と言うべき戦果です。最原たちはその結果に納得して、おしおきによる全滅を受け入れます。しかし、キーボは最原たちと違う結末を望んでいました。外の世界の人達の、コロシアイを続けてほしい気持ちとコロシアイを終わらせてあげたい気持ち。それらが両立する“不合理”を、キーボは最後の視聴者アンケートを通じて学習したのです。しかし、「最原たちを助けられないか」を内なる声に聞いては最原たちの決断を軽くしてしまいます。そこで、外の世界の意志どおりに才囚学園を破壊しながら、キーボ単独の意志で最原たちを殺さないように配慮し、外の世界の人達に「投票放棄の結果として(自分を含む)全員をおしおきした」と嘘をついた体で、最後に視聴者の目である自分を自爆させるのでした。

 実は視聴者代表であるキーボをこちら側に引き入れたことによって、戦況はようやく五分といったところでした。こちら側に最原とキーボでSランクが二人いたのに対して、あちら側にも白銀と“真のクロ”でSランクが二人いたからです。最原と白銀はそれぞれ自分たちの死を受け入れるだけでしたが、キーボと真のクロは違いました。キーボは最原・春川・夢野の三人だけは助けたいと望み、真のクロはモノクマ・白銀・キーボの三人だけはおしおきしたいと望みます。かくして、三対三で双方の釣り合いが取れて、モノクマ・白銀・キーボの三人は死に、最原・春川・夢野の三人は生き残ることになったのです。

 最原のSランクの力は“コロシアイを終わらせるため”だけのものなので仕方ないのですが、最原には上記の“自分たちが生き残った理由”だけでなく、“白銀の話の真偽”も“真のクロの正体”も解き明かすことができません。そして、これら残されたSランクの謎こそが、本作のPVで謳われている“シリーズ史上最大のトリック”なのです。シリーズを締めくくる“プレイヤーVS真のクロ”のラストバトルは、エンディングの後から始まります。


ニューダンガンロンパV3 1章 『 私と僕の学級裁判 』 の考察
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