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ニューダンガンロンパV3 終章 『 みんなのコロシアイ修了式 』 の考察


4章開幕から学級裁判後までの考察。


※ネタバレ注意!!


ニューダンガンロンパV3 1章 『 私と僕の学級裁判 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 2章 『 限りなく地獄に近い天国 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 3章 『 転校生オブザデッド 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 4章 『 気だるき異世界を生かせ生きるだけ 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 5章 『 愛も青春もない旅立ち 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 6章 『 さよならダンガンロンパ 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 終章 『 みんなのコロシアイ修了式 』 の考察

+ + + + + + + + + +
第4章 気だるき異世界を生かせ生きるだけ


1.3章を終えて





 残り9人。3章でCランクの是清とアンジー、転子が退場しました。元々のBランクとCランクが全滅したことにより、集団におけるAランクの百田と王馬の影響力がさらに強まります。さらに是清が退場したのも地味に効いており、残る頭脳派は王馬と最原の二人だけになってしまいました。


2.夢野秘密子





 ボケとツッコミの両方をこなし、「んあー」の豊富なバリエーションによって最原たちの心に上質な癒しを与えます。“超高校級のマジシャン”なのに見せ場であったマジカルショーはクロに利用されて台無しになり(しかもクロのトリックの方が大掛かりという)、それならば成長した4章以降でトリック解明に強みを発揮するはずだと期待するも……別にそんなことはありませんでした。ちなみにこれはEランクの三人(二人と一体)で役割のコントラストになっています。最原のアシスト役として、キーボは安定して優秀であり、春川は問題も起こすけれどいざという時には頼りになり、夢野は巻き込まれ体質な上にほとんど役に立ちません。ただ、夢野が活躍しないのは、性格だけでなく才能にも原因があると考えられます。同じランクでもコロシアイにおける才能の有用性には差があるからです。この点においてはDランクが一番顕著で、入間の“発明家”はトップクラスですが、ゴン太の“昆虫博士”はワーストクラスです。Eランクにおいては、最原の“探偵”とキーボの“ロボット”はトップクラスで、春川の“暗殺者”はハイクラス、夢野の“マジシャン”はロークラスといったところでしょうか。


3.“超高校級の探偵”の研究教室

 “超高校級の探偵”の研究教室には、五十二冊の事件ファイルが揃っています。そして、その冊数から過去のダンガンロンパの殺害トリックをナンバリング毎にまとめたものだと推測できます。ここで重要なのが、“初期の頃はイラストだけなのに、新しめになると写真付きになること”です。これはそのまま“白銀が苗木たちにはコスプレできて、赤松たちにはコスプレできない理由”につながっています。


4.思い出しライト その3

 思い出しライトによって、“大量の隕石群と謎のカルト集団、ゴフェル計画”が思い出されます。これにはさすがの百田も楽観論を唱えることができません。王馬が方向性の正しい推論を披露しますが、みんなは不安で押し潰されそうになっていて前回のような団結を見せずに終わります。


5.日課のトレーニング その4

 3人揃ってのトレーニングですが、百田はトレーニングをせず、さらにトイレ休憩を挟みます。健康状態が悪化しすぎて、もはや平静を装うだけで精一杯なのでしょう。また、ここでは最原と春川のディスコミュニケーションが見られます。春川は最原と赤松に自分と百田を重ねて話をしているだけなのですが、最原は赤松への想いを軽んじられていると受け止めて苛立ちを隠せません。最原と春川は3章でコンビを組んだ間柄ですが、それでもお互いに相手の一番大切なものすら分かっていないということです。


6.自分につく嘘 その2

 「コロシアイを勝ち抜く」と言い切る王馬を百田が殴ります。ここでは百田と王馬のディスコミュニケーションが見られます。百田は王馬の発言が本気でないことをちゃんと分かっており(次の自由行動での発言を参照)、その上で常軌を逸した状態の王馬の目を覚まさせるつもりで殴ったのです。一方の王馬は「コロシアイを勝ち抜く」どころか、あのように常軌を逸した状態になったのはみんなのためを想った結果だったのです。この段階で、王馬は動機のカードキーによって“外の世界の真実”を知っていました。しかし、先の思い出しライトの記憶ですら受け止めきれないみんなには、残酷すぎる真実です。そこで自分の胸の内だけにしまっていたのですが、王馬にとっても残酷すぎる真実であったため自分につく嘘をより強くせざるを得ませんでした。王馬のコロシアイを楽しむ姿勢は心からのものではなく、コロシアイが怖くてたまらない臆病な自分に対する嘘なのです。百田も王馬もお互いに相手を想う気持ちはあるのに、コミュニケーションが足りないために全く通じ合えていません。さらに、お互いの行動が極端すぎるせいで完璧にすれ違ってしまいます。

 また、『自分に嘘をついている』という王馬の問題点は、3章までの夢野に対応しています。王馬と夢野の違いは、自分を無条件に信じてくれる存在がいたかどうかです。ただ、王馬が夢野にとっての転子のような存在を望むには、あまりにも自分につく嘘が上手すぎました(夢野の嘘はEランクだけど、王馬の嘘はAランク)。赤松が生きていれば王馬を上手くフォローできたかも知れませんが、今となってはどうにもならない話です。そして、おそらくこの一件が、計画の実行を王馬に決断させたのだと思います。自分がみんなから一切信用されていないと確信して。


7.日課のトレーニング その5

 引き続き3人揃ってのトレーニングですが、百田はもはや体調の悪さを隠すことすら出来ない状態です。そのため今回のトレーニングは中止になり、代わりに三人でいろんな話をすることになります。そして、これはコロシアイ参加者同士のディスコミュニケーションに対する百田なりの回答になっています。お互いに分かり合えていないのなら、これから分かり合えばいいという考え方です。そうして仲間と信頼関係を築けたのなら、それはコロシアイに立ち向かう大きな力となります。


8.モノクマと密会する王馬

 ゲームルームで王馬がモノクマと密会し、今後のコロシアイについてある提案をします。王馬が他のコロシアイ参加者と信頼関係にないことはモノクマの目にも明らかで、それ故に提案の内容について全く警戒されません。そして、これはコロシアイ参加者同士のディスコミュニケーションに対する王馬なりの回答になっています。お互いに分かり合えていないのなら、このまま分かり合えないままでいいという考え方です。自分の本心が誰にも理解されていないからこそ出来る戦い方もあります。

 ちなみにモノクマと密会する王馬の内面は、3章での転子に対応しています。以下に3章学級裁判後のやり取りを引用します。

是清 「もちろん、夢野さんでも良かったけど、
    茶柱さんが名乗り出てくれたのは嬉しかったなァ…
    彼女のひたむきな想いは、
    姉さんの友達に相応しい高潔さだったからサ…
    何せ…夢野さんの為に、
    危険を承知で生徒会に潜入するぐらいだもんネ」
ゴン太「えっ? 潜入って…そうだったの?」
最原 「でも…真宮寺くんはどうしてそれを?」
是清 「ククク…それくらいは経験でわかるヨ。
    今まで様々な人間を見てきたからネ。
    そう! 彼女はこの学園に渦巻き出した闇に、
    1人で果敢に立ち向かっていたんだ!
    敬愛する友人の為にサ!
    僕はその姿に感動したんだ!
    素晴らしい! 彼女こそ姉さんの友達に相応しいって!
    ククク…夢野さんが嫌う意味がわからないヨ」
夢野 「………………」

 Cランクの転子の高潔さは、同じCランクかつ人間観察に長けた是清には理解できますが、Dランクのゴン太には理解できません。同様に、Aランクの王馬の高潔さを、現時点でBランクである最原には理解できないのです。


9.最原に振られる王馬

 プログラム世界からログアウトする前に、サロンで王馬と二人きりになります。

王馬 「あ、待って…せっかく2人きりになったし、
    1つだけ言っておきたい事があるんだ」
最原 「…な、なんだよ?」
王馬 「キミって使えるよね」
最原 「…は?」
王馬 「だから、バカな百田ちゃんなんかと絡んでないで、
    オレの友達になりなよ。
    オレなら…キミの力になれるはずだよ?
    キミがみんなを救えるように、
    オレが力を貸してあげる。
    ほら、みんなを救いたいんでしょ?」
最原 「………………
    …最原終一」
王馬 「にしし…振られちゃったか。
    でも、そう簡単には諦めないよ。
    オレって…好きな人は、
    首を絞めてでも振り向かせちゃうタイプなんだよね」

 ここは2章の昆虫でなごもう会と3章の学級裁判に続く、王馬の内面を理解するためのイベントです。王馬は最原に友達になってほしいだけなのですが、王馬の臆病な性格と低いコミュニケーション力でここまで意図が読みづらくなります。まず最原が話を聞ける状況であるかを一切考慮せず、さらに断られても傷つかずに済むように断られても仕方のないような言い回しを用い、おまけに少しでも友達になってもらいやすいように相手にとって一番欲しいものを条件として提示するのです。あまりにも怪しすぎて「何か裏があるんじゃないか?」と疑ってしまうのですが、最原にとっての不利益は本当に何もありません。王馬にとっては、一人で首謀者に立ち向かうより、好きな人に「友達になってほしい」と言う方がずっと勇気のいることなのです。また、最後の台詞は、「オレって好きな人(最原ちゃん)は、(自分の)首を絞めてでも振り向かせちゃう(注目させちゃう)タイプなんだよね」という意味です。これは王馬の通信簿イベントに対応しています。

 また、ここでの王馬はこの後の百田との対比になっています。最原が成長したことによって百田が望んでいた最原との関係性(ボスと助手)が破綻してしまいますが、逆に王馬が望んでいた関係性(対等の友達)を最原に期待できるようになったのです。王馬が最原を好きなった理由は、決して“使えるから”ではありません。元々Eランクだったため心の弱さに理解があり、さらに“超高校級の探偵”として王馬の考えを理解するだけの頭脳を持ち、なおかつ本来の実力が同格のAランクだからです。ゴン太に「友達になってほしい」と言えば友達になってくれたでしょうが、王馬の望んでいた関係とはとても言えません。全てのコロシアイ参加者の中でたった一人──成長した最原だけが、王馬の対等な友達になり得るのです(相互理解は友人関係の第一歩)。そして、だからこそ、最原に「友達になってほしい」言うにはこのタイミングしかありませんでした。学級裁判で自分が(間接的な)人殺しだと知られれば、もはや友達になってもらえないでしょうから。ちなみに、現実世界に戻って以降の王馬は、“友達”という言葉を使わず“相棒”に言い換えて話します。


10.みんなから頼られる存在

 事件が起きてもこれまでのような悲壮感はなく、みんなは“超高校級の探偵”である最原がこれまでどおり何とかしてくれるはずだと信頼し切っています。これは斬美の“超高校級のメイド”としての評価に対応していて、4章では最原がBランクに成長していることを表しています。ただ、最原が斬美と違うのは、百田が「一人で背負いすぎるな」と、春川が「自分を見失うな」と心配してくれることです。仲間との信頼関係が、才能に吞み込まれることを防いでくれています。


11.入間美兎





 下ネタと暴言の残念美人発明家。入間は同じDランクのゴン太と対になっており、品格が最低である反面、自己評価が最高です。そして、その自己評価どおりに才能の有用性はトップクラスに位置します。エレクトハンマー、エレクトボム、エグイサルのリモコン、虫吸引機等、コロシアイを終わらせるためにどれもなくてはならないものでした。そして、その自己評価の高さ故に自分だけは死ぬわけにいかないと思い詰めてしまったのでしょう。もっとも、せっかく準備したプログラム世界での犯行計画は、実行前から王馬に勘付かれていたわけですが……。


12.学級裁判での百田 その3

 4章の学級裁判はクロがDランクのゴン太(と入間)なので、Bランクに成長した最原にとって事件を解決することはそれほど難しくありません。そこでゴン太に肩入れするのが、Aランクの王馬と百田です。王馬はゴン太に遺体の運搬と殺害現場からの脱出に知恵を貸し、百田はゴン太を全力で擁護します。この流れはもちろん王馬の計画の内ですが、シナリオ上における4章学級裁判での百田の役割が“最原と意見を対立させること”だからということもあります。Aランクである百田との本気の意見対立を乗り越え、さらに最後まで残酷な真実から目を背けないことによって、最原は本来の実力であるAランクへと成長できるのです。


13.百田VS王馬VS最原

 4章学級裁判は、百田と王馬と最原の三人による主導権の奪い合いです。王馬はみんなを助けるための嘘をつき、百田は自分の信じる仲間をかばい、最原は残酷な真実を暴きます。ただし、最原は自分の命をかけるところまでいかず、百田は自分の命はかけられても仲間の命までかけるわけにいかず、王馬はすでに仲間二人の命と自分の立場を犠牲にしていました。さらにこの首謀者を装うための計画は大局観に優れる王馬が1章から準備してきたもので、百田と最原への対策は万全です。勝敗の行方は学級裁判が始まる前から明らかでした。かくして4章学級裁判は王馬の狙いどおりの結末で幕を降ろします。


14.獄原ゴン太





 紳士で野生児な昆虫博士。ゴン太は同じDランクの入間と対になっており、自己評価が最低である反面、品格が最高です。誰よりもみんなのためを思い、それ故に4章ではクロにならざるを得ませんでした。ゴン太は入間を殺したクロではありましたが、同時に“外の世界の真実”に殺された被害者であったとも言えます。そして、その死は赤松の言うところの「何が嘘で何が真実かわからないままだと、何かを選ぶ事もできないし…、きっと、自分が選んだ事すらわからないままだと思う」を体現しています。ゴン太は、みんなのためを思うのならなおのこと、これも赤松の言うとおりに「怖くても真実と戦わなくてはダメ」だったのです。また、本人はみんなの役に立っていないと思っていたようですが、重要な証言や発見にむしろ何度も助けられています。本人の意図とは違ったにせよ、最期はクロとしてみんなを守るために体を張ってくれました。


15.王馬の計画 その1

 王馬はここまで「ゲームを楽しむ」と言い続けてみんなからの信用を下げ続け、モノクマとの良好な関係を見せることでみんなの疑念を煽り、ゴン太による入間の殺害を裏で操りながらおしおきを受けないという他のコロシアイ参加者の上位存在にあるとの認識を植え付け、学級裁判後の露悪的な演説でみんなの敵意を一身に集めました。そして、これら全てはコロシアイを終わらせるための嘘なのです。王馬は首謀者を装うことによって残りのコロシアイ参加者を団結させ、外に出たいという気持ちをゴン太の反応で挫けさせ、他のコロシアイ参加者の危機感を煽りながらも自らは何もしないことで状況の停滞を図ります。これによりコロシアイが起こらず視聴者の不満が高まり続け、さらに王馬が首謀者を自称する間は真の首謀者の信用が視聴者から失われ続けます。そうなれば真の首謀者は必ず停滞した状況の打破を図るに違いありません。王馬はこれまでの学級裁判で場を誘導してクロをあぶり出す手法を好んでいましたが、これは場を誘導して首謀者をあぶり出す計画なのです。

 もっとも、首謀者をあぶり出す前に他のコロシアイ参加者に自分が倒されてしまっては意味がありません。そこで、あらかじめ未来の脅威を排除しておく必要があります。学級裁判後の王馬以外のコロシアイ参加者は、Aランクの百田、Bランク(成長途上)の最原、Cランク(偽装)の白銀、Eランクの春川・夢野・キーボの6人。Aランクの王馬にとっての脅威は、Aランクの百田とBランクの最原のコンビです。百田のリーダーシップと最原の頭脳が組み合わされば、さすがの王馬にも対応し切れません。そこで学級裁判で二人の関係を破綻させることにしました。百田は才能を駆使した結果として相手を信じるのに対して、最原は相手を信じるからこそ才能を駆使します。そして、Bランクに成長した最原は、百田の感情論を跳ね返して残酷な真実を明らかにする心の強さを持ちます。最原の成長を応援していた百田にとって皮肉な話ではありますが、最原が成長したことによって百田との方向性の違いが無視できないほど明確になってしまったのです。だから、百田が信じる仲間をクロに仕立て上げて、あとは学級裁判で最原を上げて百田を落とせば、二人のボスと助手という関係は簡単に破綻します。

 そして、もちろん首謀者をあぶり出す前に自分の計画が暴かれても意味がありません。そこで王馬は最原に事件の動機を推理をさせないようにしました。学級裁判で屋上へ行ったことを頑なに認めないことで最原が「サロンに王馬はいなかった」と嘘をつくよう誘導し、王馬はその仕返しとばかりに自分でクロの正体やトリックといった真実のほぼ全てを明らかにします。入間に殺意があったことやモノクマとの取引をしたこと、ゴン太を騙したこと、事件の全容について。ただし、“みんなのために間接的な殺人を企てた”という真実だけを嘘で塗り潰して。このように証言や証拠もなく大量の真実を一気に浴びせかけられれば、さすがの最原も推理や謎解きのしようがありません。大量の嘘で真実を覆い隠すのではなく、大量の真実で嘘を覆い隠すという完璧な最原対策です。ちなみに、Aランクである王馬の「真実で嘘を覆い隠す」というこの手法は、Bランクである最原の「信用で嘘を覆い隠す」という直前の手法に対応しています。

 あと、Aランクである王馬の「みんなのために間接的な殺人を企てた」という人に言えない真実は、Sランクである赤松の「みんなのために直接的な殺人を企てた」という人に言えない真実に対応しています。最原が赤松の真実を暴いたことを、王馬はもちろん意識していたはずです。最原と友達になることで、最後に自分の真実を暴いてもらいたかったのでしょう。


16.プログラム世界

 4章で重要になるのは動機のカードキーと思い出しライトではなく、コロシアイシミュレーターを改造した『プログラム世界』の方です。さらに言えば、学級裁判後に登場する『アルターエゴ』が最も重要になります。何故なら、才囚学園は身体能力に制限のないコロシアイシミュレーターで、最原たちは改造アルターエゴだからです。ここら辺は作品の根幹に関わる話になるので、エピローグの考察で述べたいと思います。


ニューダンガンロンパV3 1章 『 私と僕の学級裁判 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 2章 『 限りなく地獄に近い天国 』 の考察
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