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ニューダンガンロンパV3 2章『 限りなく地獄に近い天国 』 の考察


2章開幕から学級裁判後までの考察。


※ネタバレ注意!!


ニューダンガンロンパV3 1章 『 私と僕の学級裁判 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 2章 『 限りなく地獄に近い天国 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 3章 『 転校生オブザデッド 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 4章 『 気だるき異世界を生かせ生きるだけ 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 5章 『 愛も青春もない旅立ち 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 6章 『 さよならダンガンロンパ 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 終章 『 みんなのコロシアイ修了式 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 全章 『 ダンガンロンパ 』 の考察

+ + + + + + + + + +
第2章 限りなく地獄に近い天国


1.1章を終えて

2章のランク表

 残り十四人。1章で赤松と天海が退場してしまいました。1で言うなら、苗木(主人公)と霧切(探偵役)がいきなり退場したようなものです。白銀が江ノ島ほど強くないのでバッドエンドが確定したわけではありませんが、それでも相当苦しくなったことには違いありません。ここから先はAランクの百田と王馬、そして新主人公となった最原の成長にかかっています。また、白銀を除くコロシアイ参加者の全員が1章裁判決着後に“超高校級のピアニスト”の才能の影響を受けており、それぞれの命懸けの想いを白銀はコスプレできません。2章以降は、「誰が白銀にコスプレさせなかったか」と「そのフィクションを超える想いとは何なのか」を追っていくことになります。


2.葬式の風景

 冒頭で赤松の遺影の飾られた葬式の風景が描かれます。葬式の風景は3章のオカルト要素と運営の用意したメインストーリーであるゴフェル計画を盛り上げるためのものであり、“あの連中”というのは“超高校級狩り”を匂わせるものです。もちろんこの開幕デモは最原の見た夢ではありません。主人公の経験とは無関係に、間違った先入観を直接プレイヤーに植え付けることを目的としています。


3.百田解斗

百田解斗

 後進を導くことに特化した才能を持つ“超高校級の宇宙飛行士”。最原をEランクたらしめる原因である“真実を暴くのが怖い”という過去のトラウマを克服するきっかけを作ってくれたのが赤松なら、最原を本来の実力であるAランクまで引っ張り上げてくれるのが百田です。周りからは散々馬鹿扱いされますが、いくつかの決断は信頼を優先した結果としてあらかじめ失敗を織り込んでいるので、正しくは懐が広いと言うべきでしょう。Eランクの最原と春川に早い段階から救いの手を差し伸べるあたり、本当に見る目があると感心します。また、誰でも信じるわけでなく、信じる相手を正しく選んでいるところが百田の優秀さを証明しています。1章で作戦会議に誘ったのも、学級裁判でかばうのも、見事に悪意のないキャラクターしかいません。2章冒頭の食堂イベントでは最原が帽子を被っていないことに全く気付いていませんでしたが、それは普段から相手の外見でなく本質を見ているからです。百田のそうした本質を見抜く才能は、作中で幾度となく発揮されることになります。


4.王馬小吉

王馬小吉

 周到な準備と多彩な嘘で周囲を翻弄する“超高校級の総統”。1の十神と2の狛枝に続く、本作のトリックスター枠になります。嘘をついて周囲をからかう姿はまさに構って欲しい子供そのもの。一方で喜怒哀楽の激しい態度や何気ないように見える言動すら目的のために計算づくで実行しているという怜悧な策謀家の一面もあります。コロシアイを楽しむ姿勢を見せたり、団結を拒んで単独行動をとることが多いなど、つかみどころのないキャラクターとして本作の中でも特別な立ち位置にいます。もっとも、無闇に悪意を振り撒くキャラクターというわけでもありません。2章冒頭の食堂イベントでは最原が帽子を被っていないことを率先していじりますが、あれは言いにくいことを一番先に言ってしまうことでみんなが最原に優しい言葉をかけやすいよう場を誘導していたのです。王馬のそうした状況をコントロールする才能は、作中で幾度となく発揮されることになります。


5.思い出しライト その1

 思い出しライトによって、“超高校級狩り”に追われていた記憶が思い出されます。もっとも、名称こそ“思い出し”ですが、実際には“記憶の植え付け”あるいは“記憶の上書き”と言うべき効果です。実際に起こったことを思い出すわけでないのだから“、思い出しライトで思い出した記憶を元に状況を分析しても間違った推測にしかなりません。思い出しライトによる記憶は全て“運営が用意した嘘”なので、バラバラに考えず一連のストーリーとしてひとまとめにして頭の中のゴミ箱へ投げ込みましょう。ただ、謎の装置に繋がれて「僕は、生きたくなんてない。みんなと一緒に死にたいです」と語る最原の記憶は、6章冒頭のまことくんの独白と同じく“バイアスのかかった事実”なので、“運営が用意した嘘”とは別扱いにして判断を保留しましょう。


6.日課のトレーニング その1

 百田から日課のトレーニングに誘われます。百田は論理的な思考をすっ飛ばして正しい結論をつかみ取る才能の持ち主なので、百田のトレーニングに付き合うのが最原にとっての正解だということです。具体的に言うと、夜間に赤松のことで思い悩まなくなります。長期的に見ても最原の成長はコロシアイを終わらせるための絶対条件であり、百田の存在が味方にとってどれだけ頼れるものであるかが示される場面です。


7.動機ビデオの上映会

 本気のゴン太に捕まらなかったのは、Aランクの百田とBランクの斬美と星、エロエロな手段でゴン太の弱点を突いたDランクの入間、“超高校級の暗殺者”の研究教室の前で殺気を振り撒いているEランクの春川の五人です。それ以外のゴン太に捕まった七人(最原、白銀、是清、アンジー、転子、夢野、キーボ)は、生命力の強いタイプの昆虫の大群と二時間たっぷり触れ合うことになります。

 キーボの録音機能によって動機ビデオの上映会は始める前に終わってしまいましたが、そもそも王馬は何故このようなリスキーな企画を立てたのかという疑問が残ります。王馬には元々自分の動機ビデオが配られており、自分の動機ビデオを探す必要性がありません。そして、すでに自分の動機ビデオを視たことで、その危険性も十分に認識していたはずです。実際に斬美も動機ビデオの交換を怖れていました。もちろん全員分の動機ビデオの内容を確認するという狙いもあったでしょうが、裁判決着後に明らかになるように“超高校級の昆虫博士”の研究教室に戻る前に一人で全員分の動機ビデオの確認を終えています。“超高校級の昆虫博士”の研究教室に戻れば、すぐに上映会を始めるはずだったにも関わらずです。おそらく王馬の狙いは、“自分の動機ビデオを上映すること”にもあったのでしょう。王馬は本当の自分をさらけ出す勇気がなく、さらに筋金入りの嘘つきであることからみんなからの信用もありません。そして、それならば、他の信用のある誰かに自分のことをさらけ出してもらえばいいと考えたのです。モノクマは動機については嘘をつかないので、モノクマへの悪感情はともかく動機ビデオの内容は信用できます。おそらく王馬は自分の動機ビデオを一番に上映し、あとは動機ビデオの危険性を再認識させるなどして上映会が中止になるよう誘導するつもりだったのでしょう。そして、王馬が自分の動機ビデオを見せたい相手は、最原、白銀、是清、アンジー、転子、ゴン太、夢野、キーボの中の誰かに限られることになります。


8.星竜馬

星竜馬

 マフィアを壊滅させたことによって“超高校級の囚人”となってしまった元“超高校級のテニス選手”。星は基本的に誰とも距離を置きながらも、悩んでいる相手にはアドバイスを惜しまないクールなキャラクターです。同じBランクの斬美とは対になっており、理想の父親像を体現していて、才能を発揮できないことに空虚感を感じ、外の世界に戻る動機が一切なく、それ故に生への執着がありません。星が非常に優秀でありながらもBランクに留まっているのは、生きる気力がないからです。モノクマのタイムリミット宣告への対策も具体的ではありましたが、詰まるところ問題の先延ばしでしかありませんでした。例えどれだけ優秀であってもコロシアイを終わらせることに能力と才能が向けられられない限り、首謀者にとっては何ら脅威になり得ません。百田から「生きる気力のねーゾンビ野郎」と言われますが、相手の本質を見抜く百田には実際にそう見えていたのでしょう。ちなみにこの星への対応は、最原が帽子を脱いだ時のものとの対比になっています。中身の変わらない最原の外見の変化には鈍感でも、外見の変わらない星の中身の変化には敏感になってしまうのです。

 また、星の一番強い想いは「生きる理由が欲しい」です。食堂で百田に図星を突かれたことをきっかけにみんなと共に戦う決意をし、そのための生きる理由を動機ビデオに求めます。そして、フィクションを超える想いで“超高校級の暗殺者”である春川に動機ビデオの交換を持ち掛け、その結果として「大切なものがない」という動機ビデオの内容に完全に絶望してしまうのでした。


9.星の動機ビデオの持ち主

 王馬が「星の動機ビデオを持っているのは春川だ」と教えた理由は、“超高校級の保育士”を自称する春川が自分の本当の才能を知られた場合の反応を知りたかったからであり、同時に星が十三人中最も暗殺されにくい才能の持ち主だったからです。背後からの殺気にも気付き、攻撃されても縮地で逃げ切れる。そんな星ならば例え“超高校級の暗殺者”に命を狙われても殺されはしないだろうというのが王馬の評価でした。王馬の計算違いは、春川が星の「動機ビデオを交換してほしい」という交渉にあっさり応じたことです。春川は動機ビデオを視ていなかったため、動機ビデオで持ち主の才能がアナウンスされていることを知らなかったのです。これにより星は自分の動機ビデオを視ることになり生きることを諦めてしまいます。さらにその結果として斬美に命を譲ってしまうのですが、そうと知らない王馬は春川をクロとして完全に疑ってしまいます。


10.捜査パート

 捜査パートでは、“超高校級のマジシャンの研究教室”で白銀が王馬を監視しています。世界をコスプレできる白銀が王馬を危険視するということは、王馬がすでにフィクションを超える想いを抱いているということです。そして、白銀が危険視するほどのコスプレと現実の大きな齟齬となると、動機ビデオの上映会以外に考えられません。つまり、王馬には動機ビデオの上映会以前にフィクションを超える想いを抱くきっかけがあったということです。また、結果的に動機ビデオの上映会は未遂に終わりましたが、それでも白銀にすら「コロシアイをHARDモードにしたい」という王馬の嘘までは否定できませんでした。王馬の存在が敵にとってどれだけ脅威であるかが示される場面です。


11.学級裁判での王馬 その1

 王馬は「クロは春川である」と見誤ったまま、学級裁判で春川に発言せざるを得ない状況を作り上げようとします。つまり、学級裁判が始まってから百田と春川に二人だけで議論させる状況を作り上げるまでの全てが王馬の誘導によるものなのです。そして、最原はそのことに全く気付けず、それ故に何ら打つ手がありません。


12.学級裁判での百田 その1

 2章のクロはBランクの斬美ということもあってトリックや誘導のレベルが非常に高く、Dランクの最原だけでは事件を解決できません。そこで活躍するのが、Aランクの百田と王馬です。百田は相手の本質を見抜いて悪意のない相手をかばいます。王馬は嘘をついて場を誘導します。特に今回の学級裁判では、百田の活躍なしに事件の解決はあり得ませんでした。間違った方向に進んだ推理を強引に仕切り直し、黙っているつもりだった春川から重要な証言を引き出し、真実に立ち向かうことに躊躇する最原の背中を押し、斬美の言う“みんなのため”が自分たちを指していないことに勘付きます。


13.東条斬美

東条斬美

 斬美はこんにゃくを切ることと国家滅亡以外ならどんな依頼であれ完遂できる優秀さで、これまで作家や政治家等、様々な主人に仕え成功へと導いてきた“超高校級のメイド”です。同じBランクの星とは対になっており、理想の母親像を体現していて、才能を発揮できることに充実感を感じ、外の世界に戻る動機が一番大きく、それ故に生への執着を強く持ちます。斬美が非常に優秀でありながらもBランクに留まっているのは、自分(春川の言う“無駄なもの”)を持っていないからです。モノクマのタイムリミット宣告を受けても「自分はメイドである」という姿勢を崩さないのは立派ですが、そのメイドとしての矜持はコロシアイを終わらせることに一切つながりません。また、2章では完全犯罪まであと一歩のところまで行きましたが、アクシデントにより残された二つの手掛かりからクロであることが露見することとなりました。ちなみにこれは斬美が不運だったというよりは、Bランク以下に完全犯罪は不可能だと決まっているからです。そして、Aランクには優秀でさえあればなれるものではありません。Aランクになる資格とは、コロシアイに乗せられることなく命がけで首謀者に立ち向かうことです。本当に戦うべき敵を見失わない者にだけ、Aランクの扉は開かれるのです。

 また、斬美の一番強い想いは「生きる理由を全うしたい」です。動機ビデオで自分の本当の主人について知った時には、一刻も早くここから出なければという強い焦燥感に駆られたに違いありません。そこで斬美は一番殺しやすい夢野に狙いを定めますが、王馬が昆虫でなごもう会を企画したことによって夢野を狙うタイミングが失われて計画が頓挫してしまいます。しかし、それでも外の世界へ出ることを諦め切れずにフィクションを超える想いで星に命を譲ってくれるよう交渉してクロとなり、裁判決着後も諦めることなくおしおきからの逃亡を図ります。されど、全てはモノクマの掌の上。もう少しで脱出できるという希望を抱かせられたことによって、逆に深い絶望の底へと落ちていってしまうのでした。


14.投票結果

 投票結果は、斬美7票の最原1票でした。真実を暴きながらも斬美の満票とならなかったのは、Dランクの最原ではBランクの斬美を納得させられないからです。さらに言うと、裁判決着後でのBランクの斬美の奸計にAランクの百田と王馬は引っかからず、Bランクの斬美の逃走をAランクのモノクマは決して許しません。


15.“超高校級の暗殺者”の脅威 その1

 王馬の読みは外れ、春川はクロではありませんでした。しかし、それでも“超高校級の暗殺者”の脅威が去ったわけではありません。そこで王馬は寄宿舎へ戻る前にみんなの前で春川の本当の才能を明かし、春川への注意を喚起すると共に春川のヘイトを自分に向けるのでした。


16.動機ビデオ

 モノクマーズにより配られた動機ビデオの正体は、当人にしか効果のない思い出しライトです。2章で動機ビデオを視たのは斬美と王馬と星の三人。王馬は動機ビデオでDICEの記憶を思い出しながらも、コロシアイを勝ち抜いて外に出ようとはしません。何故なら、王馬の“大切な存在”はすでに才囚学園の中にあったからです。ちなみに、この三人の“大切な存在”の在処はコントラストになっており、斬美は才囚学園の外にあり、王馬は才囚学園の中にあり、星はどこにもありません。


ニューダンガンロンパV3 1章 『 私と僕の学級裁判 』 の考察
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