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ニューダンガンロンパV3 終章 『 みんなのコロシアイ修了式 』 の考察


2章開幕から学級裁判後までの考察。


※ネタバレ注意!!


ニューダンガンロンパV3 1章 『 私と僕の学級裁判 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 2章 『 限りなく地獄に近い天国 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 3章 『 転校生オブザデッド 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 4章 『 気だるき異世界を生かせ生きるだけ 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 5章 『 愛も青春もない旅立ち 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 6章 『 さよならダンガンロンパ 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 終章 『 みんなのコロシアイ修了式 』 の考察

+ + + + + + + + + +
第2章 限りなく地獄に近い天国


1.1章を終えて





 残り14人。1章でSランクの赤松と天海が退場しました。過去作で言うなら、苗木や日向がいきなり退場したようなものです。白銀が江ノ島ほど強くないのでバッドエンドが確定したわけではありませんが、それでも相当苦しくなったことには違いありません。ここから先はAランクの百田と王馬、そして1章を終えてDランクに成長した最原の力量にかかっています。


2.百田解斗





 朝起きると百田が朝食に迎えに来てくれます。1章の最後では赤松の死を本気で悲しんで、モノクマに何も言わない最原に本気で怒って、赤松の死に落ち込む最原を本気で心配した百田ですが、2章の最初ではいきなり殴ったことを謝って、その後は何かと気にかけてくれます。最原をEランクたらしめる原因である“真実を暴くのが怖い”という過去のトラウマを克服するきっかけを作ってくれたのが赤松なら、最原を本来の実力であるAランクまで引っ張り上げてくれるのが百田です。

 百田は“宇宙に轟く百田解斗の勘”とやらで相手の本質を見抜きます。周りからは散々馬鹿扱いされますが、いくつかの決断は信頼を優先した結果としてあらかじめ失敗を織り込んでいるので正しくは懐が広いと言うべきでしょう。Eランクの最原と春川に早い段階から救いの手を差し伸べるあたり、本当に見る目があると感心します。また、誰でも信じるわけでなく、信じる相手を正しく選んでいるところが百田の優秀さを証明しています。1章で作戦会議に誘ったのも、学級裁判でかばうのも、見事に悪意のないキャラクターしかいません。また、最原が帽子を被らなくなったことに全く気付いていませんでしたが、それは普段から相手の外見でなく本質を見ているからです。百田のそうした本質を見抜く才能は、作中で幾度となく発揮されることになります。


3.王馬の洞察力

 食堂で王馬がゴン太を組織に勧誘します。王馬は勧誘するメンバーを人柄や相性で厳選しており、超高校級揃いのコロシアイ参加者の中でも赤松と最原とゴン太の三人しか誘いません。Sランクの赤松への勧誘の言葉は「オレと組もうよ」で、Aランクの最原へは「友達(相棒)になりなよ」、Dランクのゴン太へは「手下になってよ」です。ここから王馬の洞察力の確かさが伺えます。そして、洞察力が確かであればこそ、今の段階での最原の評価には困惑したはずです。1章での最原は、図書室の隠し扉に気付き、首謀者の存在を推理し、監視カメラの罠を張り、学級裁判では首謀者を見極めようとしたり、赤松の真実を暴いたりと、Eランクとは思えない八面六臂の大活躍でした。そして、こうした実力と実績のギャップとこれ以降の急激な成長速度が、自室のホワイトボードに書き記した「油断ならない?」というコメントに繋がっているのでしょう。


4.思い出しライト その1

 思い出しライトによって、“超高校級狩り”に追われていた記憶が思い出されます。もっとも、名称こそ“思い出し”ですが、実際には“記憶の植え付け”あるいは“記憶の上書き”と言うべき効果です。実際に起こったことを思い出すわけでないのだから“、思い出しライトで思い出した記憶を元に状況を分析しても間違った推測にしかなりません。思い出しライトによる記憶は全て“運営が用意した嘘”なので、バラバラに考えず一連のストーリーとしてひとまとめにして頭の中のゴミ箱にぶち込みましょう。ただ、謎の装置に繋がれて「僕は、生きたくなんてない。みんなと一緒に死にたいです」と語る最原の記憶は、6章冒頭のまことくんの独白と同じく“バイアスのかかった事実”なので、“運営が用意した嘘”とは別扱いにして判断を保留しましょう。

 ちなみに、ここでは百田がリーダーシップの強さを発揮し、その後は星が分析力の高さを、斬美が着眼点の良さを見せます。また、「みんな適度にバラバラであった方がいい」という王馬の意見が質の悪い冗談だと流されてしまいますが、モノクマの干渉を極力減らすためにも団結していないと思わせる戦略には一考の余地があります。もっとも、首謀者目線で物事を考えるのが王馬だけなので、誰からも賛同を得られませんでしたが。


5.星竜馬





 星は基本的に誰とも距離を置きながらも、悩んでいる相手にはアドバイスを惜しまないクールなキャラクターです。同じBランクの斬美とは対になっており、理想の父親像を体現していて、才能を発揮できないことに空虚感を感じ、外の世界に戻る動機が一切なく、それ故に生への執着がありません。星が非常に優秀でありながらもBランクに留まっているのは、生きる気力がないからです。モノクマのタイムリミット宣告への対策も具体的ではありましたが、詰まるところ問題の先延ばしでしかありませんでした。例えどれだけ優秀であってもコロシアイを終わらせることに能力と才能が向けられられない限り、首謀者にとっては何ら脅威になり得ません。百田から「生きる気力のねーゾンビ野郎」と言われますが、相手の本質を見抜く百田には実際にそう見えていたのでしょう。ちなみにこの星への対応は、最原が帽子を脱いだ時のものとの対比になっています。中身の変わらない最原の外見の変化には鈍感でも、外見の変わらない星の中身の変化には敏感になってしまうのです。


6.日課のトレーニング その1

 百田から日課のトレーニングに誘われます。百田は論理的な思考をすっ飛ばして正しい結論を導き出す才能の持ち主なので、百田のトレーニングに付き合うのが最原にとっての正解だということです。そして、自分の殻を破ろうとする最原は、Eランクだった1章に比べて確実に成長しています。また、今回のトレーニングではまだ百田が万全な状態であったことも重要なポイントです。これから先は百田の健康状態が悪化していき、それに伴ってトレーニングにおける最原への影響力も低下していきます。


7.昆虫でなごもう会

 本気のゴン太に捕まらなかったのは、Aランクの百田とBランクの斬美と星、エロエロな手段でゴン太の弱点を突いたDランクの入間、“超高校級の暗殺者”の研究教室の前で殺気を振り撒いているEランクの春川の五人です(春川はおそらく誘ってすらいない)。それ以外のゴン太に捕まったコロシアイ参加者(黒幕である白銀と視聴者の目であるキーボを含む)は、生命力の強いタイプの昆虫の大群と二時間たっぷり触れ合うことになります。

 キーボの録音機能によって動機ビデオの上映会は始める前に終わってしまいましたが、そもそも王馬は何故このようなリスキーな企画を立てたのかという疑問が残ります。王馬には元々自分の動機ビデオが配られており、自分の動機ビデオを探す必要性がありません。そして、すでに自分の動機ビデオを見たことで、その危険性も十分に認識していたはずです(実際に斬美も動機ビデオの交換を怖れている)。もちろん全員分の動機ビデオの内容を確認するという狙いもあったでしょうが、学級裁判後に明らかになるように“超高校級の昆虫博士”の研究教室に戻る前に一人で全員分の動機ビデオの確認を終えています。“超高校級の昆虫博士”の研究教室に戻れば、すぐに上映会を始めるはずだったにも関わらずです。おそらく王馬の真の狙いは、“自分の動機ビデオをみんなに見せること”にあったのでしょう。王馬は生来の臆病さから本当の自分をさらけ出すことができず、さらに筋金入りの嘘つきであることからみんなからの信用もありません。そして、それならば、他の信用のある誰かに自分のことをさらけ出してもらえばいいと考えたのです。モノクマは動機については嘘をつかないので、モノクマへの悪感情はともかく動機ビデオの内容は信用できます。おそらく王馬は自分の動機ビデオを一番に上映し、あとは動機ビデオの危険性を再認識させるなどして上映会が中止になるよう誘導するつもりだったのでしょう。これなら嘘をつきながら自分の真実を伝えることができます。昆虫でなごもう会は、王馬にとって“みんなと友達になるため”の計画だったのです。

 ちなみに、王馬のこの『回りくどいコミュニケーション』は、百田の『真っ直ぐなコミュニケーション』との対比になっています。また、王馬の『みんなと協調しようとする意欲』は百田の『健康状態』に対応しており、シナリオが進むほど百田の健康状態が悪化していくのと同じように、シナリオが進むほど王馬のみんなと協調しようとする意欲も減退していきます。


8.学級裁判での百田 その1

 2章の学級裁判はクロがBランクの斬美ということもあってトリックや誘導のレベルが非常に高く、Dランクの最原だけでは事件を解決できません。そこで活躍するのが、Aランクの百田と王馬です。百田は相手の本質を見抜いて悪意のない相手をかばいます。王馬は嘘をついて場を誘導します。特に今回の学級裁判では、百田の活躍なしに事件の解決はあり得ませんでした。間違った方向に進んだ推理を強引に仕切り直し、黙っているつもりだった春川から重要な証言を引き出し、真実に立ち向かうことに躊躇する最原の背中を押し、斬美の言う“みんなのため”が自分たちを指していないことに勘付きます。


9.東条斬美





 斬美はこんにゃくを切ることと国家滅亡以外ならどんな依頼であれ完遂できる優秀さで、これまで作家や政治家等、様々な主人に仕え成功へと導いてきた万能メイドです。同じBランクの星とは対になっており、理想の母親像を体現していて、才能を発揮できることに充実感を感じ、外の世界に戻る動機が一番大きく、それ故に生への執着を強く持ちます。斬美が非常に優秀でありながらもBランクに留まっているのは、自分(春川の言う“無駄なもの”)を持っていないからです。モノクマのタイムリミット宣告を受けても「自分はメイドである」という姿勢を崩さないのは立派ですが、そのメイドとしての矜持はコロシアイを終わらせることに一切つながりません。また、2章では完全犯罪まであと一歩のところまで行きましたが、アクシデントにより残された二つの手掛かりからクロであることが露見することとなりました。ちなみにこれは斬美が不運だったというよりは、Bランク以下に完全犯罪は不可能だと決まっているからです。そして、Aランクには優秀でさえあればなれるものではありません。Aランクになる資格とは、コロシアイに乗せられることなく命がけで首謀者に立ち向かうことです。本当に戦うべき敵を見失わない者にだけ、Aランクの扉は開かれるのです。


10.“超高校級の保育士”という嘘

 王馬は学級裁判で春川をクロだと疑っており、3章でも首謀者として疑い続けます。これは王馬の首謀者目線に繋がっていて、「首謀者が誰か?」という疑問と同じぐらいに「背後組織はどこか?」という疑問があったのでしょう。王馬を除く十五人に関わるコロシアイを企てそうな背後組織が暗殺集団である神明救済会しかないため、そこに所属する春川を疑うのはむしろ当然だと言えます。さらに『ピュア』で『人の嘘が嫌い』な王馬にとって、暗殺者である素性を隠していた春川にはどうしても信用が置けなかったのでしょう。


11.動機ビデオ

 モノクマーズによって配られた動機ビデオの正体は、当人にしか効果のない思い出しライトです。コロシアイをする強烈な動機が与えられるのだから、絶対に見るべきではありません。百田が思い出しライトの使用に前向きでも動機ビデオの確認に反対だったのは、本質を見抜く才能によってその危険性を確信していたからです。「みんなと一緒に頑張る動機を得るために動機ビデオを見たい」という星の考えは尊いのですが、例え動機ビデオに星の大切な人が映っていたとしてもいい結果にはつながらなかったように思います。動機ビデオを見たAランクの王馬がコロシアイに抗えてBランクの斬美はコロシアイに乗ってしまったことから、Bランク以下では動機ビデオの影響は免れないと考えられるからです。Bランク以下で抵抗できる可能性を残しているのは、転子とゴン太と最原ぐらいでしょう。



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