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ニューダンガンロンパV3 終章 『 みんなのコロシアイ修了式 』 の考察


1章開幕から学級裁判後までの考察。


※ネタバレ注意!!


ニューダンガンロンパV3 1章 『 私と僕の学級裁判 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 2章 『 限りなく地獄に近い天国 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 3章 『 転校生オブザデッド 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 4章 『 気だるき異世界を生かせ生きるだけ 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 5章 『 愛も青春もない旅立ち 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 6章 『 さよならダンガンロンパ 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 終章 『 みんなのコロシアイ修了式 』 の考察

+ + + + + + + + + +
第1章 私と僕の学級裁判


1.キャラクターのランク分け




白銀 「あなたのオーディションテープを見た時に、
    ふと閃いたんだよね。
    誰よりも弱い“超高校級の探偵”…
    それが成長していくのもなかなか面白いかもって」

 いきなり6章から引用しますが、この白銀の台詞には無視できないものを感じます。白銀の言うことが本当なら、キャラクターの評価基準に“強さ”があり、最原が最弱から段階的に強くなっていくはずだからです。そこで1章からシナリオを振り返るにあたって、自分なりにキャラクターの強さをランク分けしてみました。一口に“強さ”と言っても様々な種類がありますが、コロシアイや学級裁判で試されるような未知の困難に立ち向かう勇気や判断力を想定しています。





 Sランクは主人公レベル。正攻法でコロシアイを終わらせられる圧倒的実力があります。Aランクは超優秀レベル。ラスボスから一目置かれるほどの実力があります。僕の評価では白銀はこの位置です。Bランクは優秀レベル。能力が高くて、どんな場面でも頼れる存在です。ただし、ラスボスには普通に力負けしてしまいます。Cランクは標準レベル。特に欠点もなく安定しています。Dランクは弱小レベル。優秀さよりも欠点が目立ちます。Eランクは最弱レベル。心に致命的な弱さを抱えています。最原は真実を暴くことを怖れており、春川は周囲に壁を作り、夢野は楽な方に流れ、キーボにはそもそも心がありません。なお、最原の成長限界は、SランクでなくAランクだと評価しています。

 シナリオの構造を透かして見たような、非常に面白い結果となりました。同じ章のクロと被害者が実力的に同格かつ行動や設定にコントラストがあり、5章で退場するAランクの二人を例外として1章から強い順に退場しています。これはもちろん、シナリオの進行に併せて段階的に最原の成長を演出するためです。そしてAランクの百田と王馬が5章退場という例外となるのは、百田には“最原たちを成長させる”という、王馬には“首謀者とモノクマを勝負できる位置まで引きずり下ろす”という、それぞれ重要な役割があるからです。本作ではキャラクターの力関係が影響する場面が多いこともあり、このランク分けを元にシナリオの読解を進めていきます。


2.絶望のデスロード その1





 絶望のデスロードでは、各キャラクターの理不尽への耐性を見ることができます。下表において、青色で色分けしたのが心が折れたキャラクターです。





 王馬はみんながバラバラになる前に手を打ったと言えますし、白銀は首謀者である正体を隠すために本来Aランクである実力をCランクに偽装しており、実際に心が折れたキャラクターは下位グループに集中しています。転子とゴン太は頭脳派でない代わりに体力と精神力が優れているため、最原は本来の実力がEランクでないため、下位グループでありながら前向きさを失っていません。


3.モノクマのタイムリミット宣告





 モノクマは動機に関して嘘はつかないので、タイムリミットまでにコロシアイが起きなければモノクマ自身は実際に皆殺しにするつもりだったのでしょう。ただし、白銀がマザーモノクマに「産め」と言わなければモノクマを大量生産できないので、この件に関する最終決定権は白銀が握っています。最後の自由時間に教室Cへ行った上で砲丸を持って隠し部屋に待機していたことから、赤松の砲丸が天海に当たればベスト。外れれば自らの手でコロシアイを偽装。それも難しければ、思い出しライトで宣告自体をなかったことにするつもりだったのでしょう。


4.百田の作戦会議





 作戦会議のためにゲームルームへと向かう七人(百田、天海、アンジー、転子、ゴン太、春川、夢野)。百田の人選だけあって、積極的にコロシアイに乗らないメンバーが揃っています。赤松と最原の二人は独自に動いていることを知っているので除外。食堂組の四人(白銀、斬美、是清、入間)は自分の目的のためなら積極的にコロシアイに乗るので除外。寄宿舎組の三人(王馬、星、キーボ)は誘っても来ないので除外。王馬はコロシアイを終わらせる作戦を独自に考え中で、星は「余計なことをするな」という天海の言葉を律儀に守っており、キーボは内なる声に従っているのでしょう。ちなみに、ここはAランクの百田と王馬の対比になっています。コミュニケーション力はあっても作戦立案力がない百田と、作戦立案力はあってもコミュニケーション力がない王馬。1章で赤松と天海のSランクの二人が退場した後は、この対照的なAランクの二人によって物語が主導されます。

 また、モノクマのタイムリミット宣告を受けてコロシアイを終わらせるための行動を独自に起こすのが、Sランクの赤松と天海、Aランクの百田と王馬、そしてEランクの最原です。首謀者である白銀を除いた十五人の中で、この五人にキーボを加えた六人だけがコロシアイを終わらせられる可能性を持ちます。


5.白銀のコスプレ





 「私がコスプレするのはフィクションの存在だけだよ。リアルはやらない…て言うか無理」。6章をプレイすると白銀のこの発言の真偽が気になるところですが、嘘でないと見て間違いありません。何故なら2章学級裁判でAランクにして嘘のエキスパートである王馬が「極限状態でこそ、その人の本性が明らかになる(意訳)」と発言しており、本作のルールとして死を目前にした最後の発言に嘘はないことになっているからです。白銀のおしおき直前における最後の発言は、「最後の最後に計画が失敗するっていう結末まで、しっかり模倣できたんだから、模倣犯(コスプレイヤー)としては胸を張っていいはずだよね?」です。死を目前にしてすらコスプレイヤーとしてのプライドを大事にする白銀にコスプレ関連の嘘はないと考えて間違いなく、苗木たちにはコスプレできて赤松のコスプレはできない何らかの理由があることになります。1・2とV3は同じダンガンロンパなのにどういった違いがあるのか。白銀にとって赤松たちはリアルだと証明されているのに6章ではどうしてフィクションの存在だと呼ぶのか。その謎の答えはエピローグの考察で触れたいと思います。


6.赤松楓





 1章終盤までの操作キャラクターである赤松楓は、コロシアイを終わらせることに特化した本作最強のキャラクターです。“超高校級のピアニスト”の才能によって強化されたリーダーシップとコミュニケーション力が持ち味ですが、他のあらゆる能力もほぼ上限値にあります。洞察力、判断力、精神力、発想力、実行力等、天海の言うとおりにコロシアイを勝ち抜く素質に恵まれています。本作を読解するにおいて特に注目すべきなのは洞察力で、主に通信簿イベントで見られる人物評価の確かさは同じSランクの天海と並んでエスパーレベルです。おしおき直前の最原への激励も優しさからだけでなく、最原が本来の実力を発揮できればこのコロシアイを終わらせられると本気で信じていたのでしょう。ただ、ピアノバカが高じて超高校級のピアニストになったように、こうだと決めたらノーブレーキで突っ走ってしまう傾向にあり、その点を天海、百田、王馬、最原の四人から危惧されています。

 もっとも、例え相手が首謀者であっても、同じ条件下での戦いならばSランクの赤松がAランクの白銀に必ず勝つようになっています。これは「Aランクの人物が容姿、頭脳、運動神経の全てにおいて超高校級であっても、Sランクの主人公と対立する限りはただのかませメガネになり下がるしかない」のと全く同じ、“主人公補正”という名の因果律の定めなのです。ただ、本来首謀者に使うべき主人公補正を、赤松は砲丸を天海に当てないために、天海は赤松の砲丸を回避するために発揮してしまいます。そして、その隙をモノクマと才囚学園のバックアップを受けることで一時的にSランクとなった白銀に付け込まれることになってしまいました。ただ、返り討ちにはあったものの、二人の行動は無駄ではありませんでした。首謀者にしか知りえない隠し通路を利用し、学級裁判で公正な判決を行わなかったという、首謀者のアンフェアな実績を残したのです。

 また、赤松は極限状態でのやり取りが多くあります。首謀者殺害を決行する直前における教室Aでのイベントや自分の死を受け入れた上で学級裁判に臨むエレベーターでのイベント、おしおき直前における最原とみんなへ向けた最後の言葉。そのどれもが最原とみんなへの思いやりに満ち溢れていて泣けます。苗木並みの行きすぎた前向きさと日向並みの優秀な相談窓口適性を兼ね備え、殺害しようとした相手から返り討ちにあうという舞園並みの悲運を発揮した上に、学級裁判で自分をクロとして指摘させるよう主人公を誘導するという七海並みの優しさを示した赤松は、主人公としてもヒロインとしても集大成すぎるキャラクターでした。

 ちなみに、この冤罪について白銀が運営側としてアンフェアなのは間違いありませんが、ここで赤松と天海をまとめて退場させておかないと白銀が不利になりすぎるので首謀者としては正しい判断をしたと言えます。赤松が生きていれば百田と王馬を協調させながら最原を成長させてコロシアイを終わらせたことでしょうし、天海が生きていればコロシアイ最大最後の謎をピンポイントで解き明かしたことでしょう。プレイヤーには1章の段階でこの二人の価値を知るべくもないのですが、考察を進めることで白銀のこの犯行が運営にとってどれだけファインプレーだったかが理解できるようになります。


7.仲間のために命をかける勇気





 赤松を守るためにエグイサルに立ちはだかる百田、ゴン太、転子。彼らが仲間のために命をかける勇気を持った(赤松、天海、白銀を除く)十三人中の上位三人になります。イベント画では描かれていないものの、最原が上位四人目というのも重要なポイントです。最弱のEランクに位置する最原ですが、決して能力が低いわけではありません。絶望のデスロードに挫けない前向きさと図書室の隠し扉にただ一人気づく注意力、カードリーダーの埃やセンサー式監視カメラを仕掛ける発想力、学級裁判で赤松の真意を明らかにした推理力、そして仲間のために命をかける勇気。むしろ能力の総合評価の高さはAランクの百田と王馬に匹敵するほどで、Sランクの赤松ほどではないにしろコロシアイを勝ち抜く素質に恵まれています。最原をEランクたらしめるのは、“真実を暴くのが怖い”という過去のトラウマとそれに伴う経験不足だけなのです。


8.天海が少しだけ勘付いてたこと

 6章で“超高校級の生存者”の才能が明らかになり前回のコロシアイとの繋がりを示す天海ですが、もう一つ重要な役割があります。それは6章の謎を解き明かすためのヒントをプレイヤーに与えることです。

斬美  「モノクマ…貴方の目的はなんなの?」
春川  「…私達に恨みでもあるの?
     だとしたら、それってどんな恨み?」
モノクマ「…恨み?
     うぷぷ。それはどうだろうねー。
     それを明らかにするのはオマエラ自身だよ。
     ここで一体何が行われているのか知りたければ、
     オマエラ自身の手で暴くしかないんだよ。
     …ま、死んだ天海クンは
     少しだけ勘付いてたみたいだけどさ」
ゴン太 「…えっ?」
キーボ 「今の言葉はどういう意味ですか?
     死んだ天海クンは、何に勘付いていたんですか?」
モノクマ「うぷぷ。なんだろうねー?」
斬美  「もしかして、彼がゲームを終わらせると言っていたのも、
     図書室の隠し扉を知っていたのも…
     その“何か”に勘付いたからなの?」
モノクマ「うぷぷ。なんだろうねー?」
入間  「おいっ! その“何か”ってのはなんだっ!?
     どこにあるんだよっ!?」
モノクマ「うぷぷ。なんだろうねー?」

 ここは妙な流れです。モノクマは天海が“勘付いてた”という概念の話をしているのに、入間の「どこにあるんだよっ!?」でいきなり物質の話にすり替わっています。これは明らかにシナリオライターが生存者特典のモノパッドへのミスリードを誘ったものです。同様に斬美の台詞も天海が“超高校級の生存者”の才能を発揮したというミスリードを誘っています。天海が図書室へ向かったのは確かに生存者特典によるものですが、それはそこにあった過去の自分からのヒントを参考にしたからであって何かに勘付いたからではありません。

 天海が実際に何かに勘付いていたのなら、重要なのはその何かが“どこ”にあるかよりも“どのように”勘付いたかです。そもそも1章という限定された時間と空間で、天海だけが何かに勘付くというのは考えにくいものがあります。1章の段階で通常の行動範囲に特別な何かがあったとすれば、天海と同格の能力を持つ赤松と“超高校級の探偵”の才能を持つ最原のコンビが最初に勘付くはずなのです。そうでないのだから、赤松・最原コンビにないアドバンテージによって天海が勘付いたとしか考えられません。通信簿イベントで見せる赤松のエスパーレベルの洞察力を信じるならば、天海の才能は“超高校級の探偵”よりもずっと推理力が高いが故に念入りに消されていたことになります。“超高校級の???”で隠して、“超高校級の生存者”でさらに隠した天海本来の才能──“超高校級の冒険家”。おそらく天海は前回のコロシアイで、首謀者でなく、才囚学園でなく、この世界に謎があることに勘付いたのでしょう。そして、仲間にコロシアイ卒業の椅子を譲るためだけでなく、次のコロシアイで世界の謎を解き明かすために自ら二度目のコロシアイを望んだ。残念ながら天海は1章で退場してしまいましたが、その無念はプレイヤーが晴らすことになります。


ニューダンガンロンパV3 1章 『 私と僕の学級裁判 』 の考察
ニューダンガンロンパV3 2章 『 限りなく地獄に近い天国 』 の考察
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