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NINJA
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※ネタバレ注意!!

前回のエントリー:逆転裁判 (4エントリー中、2エントリー目)

前回のエントリーで再構築したプロットは、完璧と言っていいものです。それでも、あくまでゲームシステムの抱えている問題点を全て克服したという意味で完璧なのであって、シナリオの面白さが確約されたわけではありません。プロット自体はオーソドックスな起承転結ものなので、シナリオの良し悪しを決定づけるのはむしろここから先の工夫次第となります。

今回のエントリーでは、そうした工夫についての解説を行います。逆転裁判のシナリオが、どれだけ緻密に考えられているか。前回のエントリーを踏まえた上で、もう一度読解していくことにしましょう。

+ + + + + + + + + +




第1話:初めての逆転

1.テーマを悟られないための措置




オープニングで真犯人が明らかにされています。これは前回のエントリーで述べたとおり、“真実を明らかにすることの肯定”というテーマをプレイヤーに悟られないようにするための措置です。成歩堂との対比によってテーマが浮き彫りになるキャラクターが弁護側と検察側に登場しないのも、“真実”という単語が使われないのも、また同じ理由からです。これらの効果のほどを示す台詞を、以下に引用します。


チヒロ  「……なるほどくん。証拠品って、こういうものよ。
      見る角度によって、その意味合いはどうにでも変わってしまうわ……。
      人間だって、そう。
      被告人が“有罪”か“無罪”か? 私たちには、知りようがない。
      弁護士にできるのは、彼らを信じることだけ。
      そして彼らを信じるということは、自分を信じるということなの。
      ……なるほどくん。強くなりなさい……もっと。
      自分が信じたものは、最後まで、あきらめてはダメ。」



千尋のこの台詞は第1話にしてテーマを言い切ってしまっているのですが、これを初見で読み解けるプレイヤーはおそらくいないでしょう。ここで着目すべき点は、2つあります。1つ目は、「被告人が“有罪”か“無罪”か? 私たちには、知りようがない」という箇所です。オープニングで事件直後の様子を見せられたプレイヤーは、被告人が“有罪”か“無罪”かを知っていました。つまり、千尋の言う“私たち“に今のプレイヤーは該当しません。2つ目は、「自分を信じるということ」という箇所です。抽象的な表現であると受け止めてスルーしてしまいがちですが、これは「真実を明らかにすることで無罪を勝ち取るという自分のやり方を信じるということ」が省略されたものです。しかし、真犯人を知っていたプレイヤーは“真実を明らかにすること”を目的意識として持たないため、これを正しく読み替えることができません。これら2つの点から分かることは、少なくとも今の段階において、プレイヤーが自らの実感からテーマにたどり着くことは不可能だということです。


2.千尋の存在意義

千尋の存在意義として最初に思いつくのは成歩堂のアドバイザーであることですが、その他にも”成歩堂が弁護士として一人前でないことを表現できる“というものがあります。逆転裁判では、全てのシナリオにおいて弁護側の勝利で終わることが求められます。したがって、弁護側が成歩堂一人であるならば、成歩堂は一人で全てのピンチを乗り越えなければなりません。しかし、弁護側が成歩堂一人でないならば、成歩堂は一人で全てのピンチを乗り越える必要性がなくなります。千尋を弁護に介入させることにより成歩堂が一人前でないことを表現できるようになり、また介入のタイミングを遅らせていくことにより成歩堂の成長を表現できるようになるのです。


第2話:逆転姉妹

3.成歩堂の資質

第2話1日目探偵パートにおいて、テーマに関わる非常に重要なシーンがあります。


チヒロ  “今日はね、私の部下の初舞台だったの”
マヨイ  「へー! そうなんだ。で、で、どうだった?
チヒロ  “それはもう、あらゆる意味で大騒ぎだったわ”
      “正直、ヤバかったわ。……こんなこと、ひさしぶり”
マヨイ  「えー! そうなんだ。デキの悪いブカなんだね?
チヒロ  “……彼は天才よ”
      “まさに<<恐怖のツッコミ男>>といったところかしら”
      “彼にたりないのは、……そう、ケイケンだけ”
マヨイ  「ふーん。
      じゃあ、あたしに何かあったら、おねがいしちゃおうかな!
チヒロ  “いい? 真宵”
      “今は、まだダメ。 あと3年待ちなさい”
      “無罪になりたかったら……ね”



最後の台詞を見てシナリオの主軸は“成歩堂の成長”であると読み取ってしまいがちですが、これは明らかな誤読です。シナリオの主軸が“成歩堂の成長”であるためには、成歩堂唯一の成長要素である経験が最も重要だという話でなくてはなりません。しかし、それでは新米弁護士がベテラン検事に勝てる道理がなくなってしまいます。ここで本当に着目すべきは、成歩堂に足りないものでなく、成歩堂に足りているもの──千尋にして天才と言わしめる成歩堂の資質にあるのです。

また、前回のエントリーで、主人公は(テーマにおいて)成長の余地のない完璧なキャラクターであると述べました。主人公が成長の余地のない完璧なキャラクターであること自体は問題になりませんが、主人公が成長の余地のない完璧なキャラクターである理由を説明しないことはシナリオとキャラクターの双方に説得力を欠くという意味で問題になります。したがって、成歩堂が弁護士のライトスタッフを獲得するに至った経緯を過去にさかのぼって説明しなければなりません。小学校の頃の学級裁判。矢張への借り。弁護士になった理由。これら全ては、そのための伏線です。


4.真宵の存在意義

物語のヒロインとして。成歩堂を信じる者たちの代表として。探偵パートのにぎやかしとして。成歩堂のフォロワーとして。千尋という優秀なアドバイザーを無制限に登場させないためのリミッターとして。等々。真宵は劇中で最も多様な役割を担っています。その中でも特に面白いのが、プレイヤーにとって第二の感情移入先となることです。一般的に主人公がプレイヤーの知らない重大情報について言及するとき、主人公への感情移入ができずに物語への没入感が損なわれてしまいます。そのため”主人公はプレイヤーの知らない重大情報を知っていてはならないこと“がシナリオライティングのセオリーとなるわけですが、逆転裁判においては前述したとおりプレイヤーの知らない主人公の過去を用意しないわけにはいきません。そのため、成歩堂が自身の過去について語り出すときに備えて、物語への没入感を損なわないための工夫を用意しておく必要があります。そして、その工夫こそが、成歩堂に対するプレイヤーの疑問を代弁するキャラクターを側に置いておくことなのです。プレイヤーの感情移入先としての真宵は、ある意味で成歩堂よりも優秀と言えます。ゲームの主要購買層に年齢がより近く、プレイヤーの知らない重大情報を知っていることもなく、性格が素直で分かりやすいからです。霊媒師の卵という非現実的な設定に賛否の分かれるところはありますが、真宵が逆転裁判に必要なキャラクターであることは疑いようがありません。


5.ダミーのテーマ




第2話は、ライバル検事・御剣の初登場回です。御剣の主な役割は成歩堂との対比によってテーマを浮き彫りにすることですが、今の段階でテーマを悟られるわけにはいかないため、ダミーのテーマへ誘導する必要があります。そのための描写を3つ、以下に引用します。

1つ目は、1日目探偵パートでイトノコから今回の事件の担当検事が御剣であることを聞かされた場面です。


ナルホド (……知らないワケ、ないだろ。ちょっと、トボけてみただけさ)
     (有罪判決を獲得するためにはなんでもする、冷酷な男!)
     (裏取引や証拠のでっち上げ…… 偽証させるってウワサもある)
     (ほとんど異常ともいえる、”犯罪“に対する憎しみ……)
     (まさか、こんなに早く会うことになるとは……)



御剣は、”有罪判決を獲得するためには行き過ぎた方法すら辞さない男“です。しかし、決して”有罪判決を獲得するためにはなんでもする、冷酷な男”ではないし、少なくとも劇中において証拠のでっち上げや偽証の指示が行われることはありません。成歩堂の御剣への評価は、所詮は噂の域を出ないものです。それでも、そうした噂を否定する材料が与えられないことには、御剣を再評価しようがありません。そして、だからこそ、プレイヤーは御剣に良くない印象を抱き続け、常に否定的な見地から御剣の言動を評価してしまうのです。

また、ここで成歩堂と御剣の間に因縁があることが明らかにされています。これは、ライバル検事にただの敵役に留まらない価値を与えることによって、今後の展開に対するプレイヤーの興味を喚起するためです。前回のエントリーで述べたとおり、この”ライバル検事との因縁”こそがシナリオの主軸となります。

2つ目は、1日目探偵パートで真宵の弁護を引き受けると決めた場面です。


ナルホド (味方が1人もいない悲しさ、そして孤独な感じ)
      (実はぼくにも、おぼえがあった。……遠い、昔の話だ)
      (そもそも、ぼくがなぜ、弁護士になったのか……?)
      (そういう孤独な人の味方になれる唯一の存在が、弁護士だからだ)



ここでは、一部の情報だけが都合よく拾い上げられています。成歩堂が“孤独な人の味方”であることは、“真実を明らかにすることの肯定”というテーマにおいて決定的な意味を持ちません。また、弁護士の道義的な立ち位置しか説明していないことによって、検事の道義的な立ち位置が相対的に“孤独な人の敵”になってしまいます。成歩堂が弁護士になった理由自体に、一切の嘘はありません。そして、だからこそ、プレイヤーは弁護士に“孤独な人の味方”という道義的な優位性があることを疑わず、常に肯定的な見地から成歩堂の言動を評価してしまうのです。

3つ目は、3日目法廷パート開始直後の場面です。


ミツルギ 「…………。
      私は、有罪判決を勝ちとるためならば、なんでもする男だ。」
マヨイ  「どうしてなんですか!
      あなたはそうやって、罪のない人を苦しめて……!」
ミツルギ 「”罪のない“……?
      そんなことが、どうして私たちにわかる?
      罰を逃れるためならば、彼らはどんなウソだってつく。
      見わけることなんてできない。……それならば。
      私にできることは、1つ。被告人を、すべて有罪にする。
      それが私のルールだ。」



「私は、有罪判決を勝ちとるためならば、なんでもする男だ」という御剣の台詞は、「有罪判決を獲得するためにはなんでもする、冷酷な男!」という成歩堂の御剣への評価に対応しています。これは、御剣の口から同じような言葉を言わせることによって、プレイヤーに成歩堂の御剣への評価が全て正しいかのように錯覚させるためです。また、その後の御剣の台詞は、「被告人が“有罪”か“無罪”か? 私たちには、知りようがない。弁護士にできるのは、彼らを信じることだけ」という千尋の台詞に対応しています。 これは、言葉足らずな千尋の台詞との対比によって、成歩堂と御剣の対立軸が”被告人を信じるか否か“だと誤読させるためです。成歩堂と御剣の本来の対立軸は、“被告人の良心を信じるか、警察の捜査を信じるか”です。しかし、“真実を明らかにすること”を目的意識として持たないプレイヤーには、それに気付きようがありません。御剣への悪印象や弁護士の被告人に対する道義的な優位性も相まって、“被告人を信じることの肯定”というダミーのテーマへたやすく誘導されてしまうのです。


6.成歩堂に対する御剣の評価 その1

2日目法廷パートで、御剣と成歩堂のこんなやり取りがあります。


ミツルギ 「……たしかキミは、綾里 千尋の弟子だっけな……。
      彼女のやり方ならば、よく知っている。
      人の証言のアラを探す、ヒキョウなやり方……。」
ナルホド 「な、なんだと……!」



千尋のやり方は、弟子である成歩堂も同じ。つまり、御剣は千尋のやり方を非難するのと同時に、成歩堂のやり方をも非難していることになります。成歩堂のやり方は劇中において”真実を明らかにする最良の法廷戦術”という位置付けにあるのですが、”真実を明らかにする”という目的意識のない今の御剣にはそれが分からないのです。


7.序審法廷

2日目探偵パートの終わり際に、逆転裁判における法廷システムが語られます。


ナルホド 「世紀が変わっても、あいかわらず犯罪は増加の一途をたどり……、
      時間のかかる法廷のシステムでは処理しきれなくなってしまった。
      そのため、数年前から設置された序審法廷の期間は、最長でも3日。
      たいていは1日で終了してしまう。もちろん、有罪判決で、だ。
      まさか、ぼく自身が被告席に立つことになるとは思わなかった。」



ここで面白いのが、これほど重要な舞台設定が第2話終盤まで説明されなかったことです。この序審法廷という舞台設定は、現実の裁判をゲームの枠組みに落とし込むために欠かせないものです。しかし、一方であまりに非現実的すぎるため、プレイヤーを白けさせかねないという危険性をはらみます。序審法廷の説明をギリギリまで引っ張ったのは、そうした危険性を顕在化させないためです。登場人物のコミカルな外見や言動など、非現実的だけれども好意的に受け止められる他の要素を先に見せることによって、序審法廷の非現実性を埋没させているのです。


8.法廷における格付け その1

2日目法廷パート終盤で”真犯人・小中が観念しかけたところに、御剣が助け舟を出す”という展開が見られます。これは、強大な権力を持つ小中も絶対でなく、法廷においては検事である御剣の方が格上であることを示しています。


9.第2話終盤の展開

第2話終盤の展開はカタルシスに欠けるため評価が低くなりがちですが、シナリオ全体の中での役割に気付いたならば評価を改めずにはいられません。以下に、第2話終盤の展開をたどります。


御剣の主張によって形勢が逆転。成歩堂が自らの無罪判決を諦めかける。
      ↓ ↓ ↓
千尋が真宵に憑依。千尋により明らかになった新事実で、小中を完全に追い詰める。
      ↓ ↓ ↓
これで審理の趨勢は決したかに思われたが、御剣はそこから異議を申し立てる。「成歩堂の主張には一理あるが、成歩堂が無実であるという決定的な証拠もない」として、審理の延期を要求。そんな要求が通れば、成歩堂の有罪判決は決定的になってしまう。
      ↓ ↓ ↓
なすすべなく審理の延期が決まりかけるが、千尋にはまだ奥の手があった。「ここで罪を認めないのであれば、このリストをマスコミに公表する」という取引を小中に提示。小中は、ついに千尋を殺害した事実を認める。
      ↓ ↓ ↓
成歩堂に無罪判決が下される。



第2話でも助けられることで成歩堂がまだ一人前でないことを、3日目法廷パート終盤まで助けられなかったことで成歩堂の成長を表しています。また、”千尋と小中の取引“という第三者の力が及ばない方法によって決着をつけることで、御剣の”強敵としての価値“の減少を最小限に留めています。あと、もう1つ重要なのが、真犯人が自白することでしか被告人の無実が証明されなかったことです。御剣の粘りは”被告人の無実が証明されない限り、被告人をすべて有罪にする”という自らのルールに従っているが故のことなのですが、プレイヤーの目には真犯人・小中を擁護しているように映ります。そして、プレイヤーは、そうした誤解から御剣への不信感をさらに募らせてしまうのです。


第3話:逆転のトノサマン

10.第3話のオープニング




第3話のオープニングには、”裁判の展開に幅を持たせる”という狙いがあります。これまでのオープニングでは真犯人と共に犯行状況も描写していたため、裁判の争点が”証言の矛盾“ばかりにならざるを得ませんでした。しかし、第3話のオープニングでは真犯人や犯行状況を描写しないため、「凶器は一体何だったのか?」といった”状況の謎“を裁判の争点とすることが初めて可能になります。そこで、オープニングを犯行のイメージ映像に見立てさせることによって、本当の凶器を隠して偽の凶器を印象づけているのです。


11.御剣の様子 その1

1日目探偵パートで、御剣の様子をイトノコから知らされます。


イトノコ 「あっ!
      アンタは、この前の殺人犯!」
マヨイ  「ああああっ! この前の大マチガイ刑事!」
イトノコ 「アンタたちのせいで、御剣検事はちょっとブルーになってるッス!
      午後のティーを飲みながら、窓ぎわでタソガレているッス!」
ナルホド 「し、知りませんよそんなの。」
マヨイ  「そうだよ!」



御剣が窓際でたそがれていたのは”裁判に負けたから“だと読み取ってしまいがちですが、実際には”無実の被告人を有罪にしてしまうところだったから“です。さすがに判断材料の少ない今の段階で正しく読解することはできないにしても、間違って読解しないだけなら難しくありません。ここで意味を持つのは、「(御剣検事が)午後のティーを飲みながら、窓ぎわでタソガレているッス!」という客観的事実だけです。「アンタたちのせいで」というイトノコの指摘はあくまでイトノコの主観にしか過ぎない点に注意してください。


12.被告人を信じ続けさせるために

2日目探偵パートの調査の結果、”犯人は荷星しか考えられない“という状況に陥ってしまいます。弁護側の危機的状況に不安がる成歩堂。ここで、千尋から「荷星の無実を信じているか?」と尋ねられます。もちろん、「信じている」と答えるのが正解です。弁護側の危機的状況で探偵パートを終えるのは、次の法廷パートを盛り上げるためです。しかし、あまり弁護側を追いつめ過ぎると、オープニングで真犯人の明らかにされていない第3話においてはプレイヤーが被告人の無実を疑ってしまいます。そこで、正解の分かり切った選択肢を直後に設けることによって、プレイヤーに不安を抱かせないようにしているのです。


13.御剣の様子 その2

3日目探偵パートで、御剣の様子をイトノコから知らされます。


ナルホド 「そういえば、御剣検事はどうしてます?」
イトノコ 「それがもう、大荒れッス!
      控え室で、アツいコーヒーの入った紙コップをひねりつぶしたッス。」 
ナルホド 「……はあ。」
イトノコ 「もう、大ヤケドッス!」
マヨイ  「わあい。いいキミだあ!」



御剣が紙コップを捻り潰したのは”裁判を圧倒的有利な状況から引っくり返されたから“だと読み取ってしまいがちですが、実際には”またしても、無実の被告人を有罪にしてしまうところだったから“です。ここも今の段階で正しく読解することはできないにしても、、間違って読解しないだけなら難しくありません。ここで意味を持つのは、「(御剣検事が)控え室で、アツいコーヒーの入った紙コップをひねりつぶしたッス。」という客観的事実だけです。「わあい。いいキミだあ!」という真宵の主観に基づく感想に引っ張られないよう注意してください。


14.最終日法廷パートにおける御剣の動機 

冒頭弁論が控えめだったり、裁判中に迷いが見えたり、最終日法廷パートの御剣には被告人を有罪にするという強い決意が見られません。そして、ついには今までの御剣らしからぬ行動を取り、真犯人・姫神の退廷を首の皮一枚で阻止します。


マヨイ  「なるほどくん。
      どうして、御剣検事が……?」
ナルホド 「……さあね。
      あいつにも、わかったんだろ? ……誰が犯人か。」
マヨイ  「でも、でも!
      ”ヒコクニンをみんなユーザイにするのが、オレのるーるだ“って、
      エラそうに言ってたのに……。」
ナルホド (ミツルギ……)



”被告人の無実が証明されない限り、被告人をすべて有罪にする”という御剣のルールは、被告人・荷星に行きようのなかった第2スタジオで犯行が行われたことが証明された今となっては意味を無くしています。つまり、真宵の疑問に対する正解は、”被告人の無実が証明されたから”です。”誰が犯人か分かったから”という成歩堂の回答は正解からずれており、”被告人をみんな有罪にするのが、俺のルールだ”という真宵の引用は正確さに欠けています。


15.最終日法廷パートにおける御剣の目的 および 法廷における格付け その2

真犯人・姫神の最後の証言で、御剣は成歩堂も気づかなかった矛盾を指摘します。さすがに、これには裁判長も驚きを隠せません。


サイバンカン「せ……静粛にッ!
      御剣検事!」
ミツルギ 「…………。」
サイバンカン「今の発言ですが……、
      たしかに、指摘のとおりです。
      しかし……。検察側の人間のとる行動とは思えません。
      まるで……そう、弁護人ではないですか!」
ミツルギ 「ご心配いただくのはありがたいが……
      私のとるべき行動を決めるのは、私だ。
      さあ、証人。……答えていただきたいッ!」
ナルホド (……ミツルギに……助けられた……?)



ここも先ほどと同じで、外野の的外れな発言によって御剣の意図を読ませないようにしています。御剣の目的は、”被告人を無罪にするため”でも”成歩堂を助けるため”でもなく、”真実を明らかにするため”です。

また、御剣が姫神の思い通りにさせなかったことによって、法廷においては御剣が姫神より格上であることを示しています。


16.第3話終盤の展開

第3話でも助けられることで成歩堂がまだ一人前でないことを、最終日法廷パート終盤まで助けられなかったことで成歩堂の成長を表しています。また、御剣の行動がなければ無罪判決を勝ち取れなかったことで、御剣の”強敵としての価値“の減少を最小限に留めています。あと、これまでと違って千尋が登場しないのは、御剣によって成歩堂を助けさせるためです。


17.あたりまえのこと

真犯人・姫神が罪を認め、ついに裁判は被告人への無罪判決を待つのみとなります。


サイバンカン「成歩堂くん。」
ナルホド 「はい。」
サイバンカン「……どうやらまた、奇跡が起こったようですね。」
ナルホド 「は、はぁ……。」
ミツルギ 「それは違う、裁判長。
      荷星 三郎は、無実だった。
      だから、それが証明された。……あたりまえのことだ。」
サイバンカン「…………
      ……そうですね。そのとおりです。」



この場面での狙いは、これまでの裁判を”奇跡の逆転劇”でなく”あたりまえのこと”として、プレイヤーの認識を改めさせることです。これが、最終話において”あたりまえでないこと”と対比するための布石となります。


18.最終話に向けて

荷星の無罪判決を勝ち取った成歩堂の前に、御剣が現れます。


ミツルギ「…………
      成歩堂。
      私たちは、こうしてふたたび出会ってしまった。」
マヨイ  「……”ふたたび“……?」
ミツルギ 「しかし。
      出会うべきではなかった。
      おかげで私の中に、よけいな感情がよみがえった。」
ナルホド 「よけいな感情……?」
ミツルギ 「”不安“……そして”迷い“だ。」
ナルホド 「それは、よけいな感情じゃないだろう?」
ミツルギ 「私にとってはジャマなものだ。
      いいか。……成歩堂 龍一。
      もう二度と、私の目の前に現れないでほしい。
      ……それだけ、言いに来た。」



”被告人は無実かも知れない”という不安と”被告人への有罪判決を主張していいのか”という迷い。成歩堂がどんな逆境からでも裁判をひっくり返してしまうため、御剣は検事として被告人が有罪であるという確信が持てなくなっているのです。もっとも、ここまで正しく読解できていないプレイヤーには、裁判中に縮まった御剣との距離がまた開いてしまったかのように感じられることでしょう。多くの謎を抱えたまま第3話は幕を降ろします。成歩堂と御剣の過去とは? 何が御剣を変えてしまったのか? 御剣の真意はどこにあるのか? そして、物語はどのような結末を迎えるのか? 最終話に期待を持たせる見事な引きです。





長くなり過ぎたので、ここでひとまず区切ります。


次回のエントリー:逆転裁判(4エントリー中、4エントリー目)


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