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NINJA
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ゲームボーイアドバンス
2001年10月12日発売
カプコン
★★★★★

※ネタバレ注意!!

逆転裁判の人気の要因は斬新なゲームシステムと個性的なキャラクターにあると思うのだけれど、その土台となるシナリオも相当なレベルの高さです。並みのシナリオライターでは思い付きもしないような工夫が随所にあって、何度プレイしても感心させられます。ニンテンドーDS用『逆転裁判~蘇る逆転~』でいきなり新シナリオから始めた人は、ぜひシナリオの出来に着目しつつ旧シナリオをやり直してみてください。逆転裁判への評価がさらに高まること請け合いです。

+ + + + + + + + + +
シナリオの解説に入る前に、まずは大まかな読解をしておきます。





第1話:初めての逆転

いきなり法廷パートから始めたり、ゲーム進行の説明を行ったり、ストーリーの構図をシンプルにしたりと、プレイヤーを軌道に乗せるための数々の配慮が見られます。




第1話で証人となるのは、真犯人ただ1人です。亜内検事は力不足から裁判の流れに大きな影響を与えません。事実上、真犯人との一対一の知恵比べになります。一応最後に千尋から助けられますが、フラグを満たしているという意味でプレイヤーに落ち度はありません。終盤に敗訴寸前まで追い詰められるのは、成歩堂が一人前でないことを示すと同時に、プレイヤーの危機感を煽って逆転の発想を印象付けるためです。

あと、法廷バトルの構図を極限にまでシンプルにすると、主人公の敵になるのは検事ではなく真犯人だということを覚えておいてください。


第2話:逆転姉妹

新たに、綾里真宵、御剣怜侍、糸鋸圭介の3人が登場。これでレギュラーキャラクターの全員が出揃い、法廷バトルにおける基本構図が固まります。




ライバル検事・御剣の登場によって、弁護士対検事の対立構造が明確になりました。御剣は、成歩堂とは正反対に被告人の有罪を確信しており、成歩堂と同等以上の影響力を裁判の流れに与え、行き過ぎた方法を取ってでも有罪判決を勝ち取るという強い決意を持ちます。御剣の初登場時には、成歩堂の敵役としてこれ以上の相手はいないと誰もが思ったことでしょう。もっとも、御剣は最終的に成歩堂の敵役にはなり得ないのですが、この辺りの事情は”御剣が変わってしまった理由”という謎と同様に最終話で明らかにされます。


第3話:逆転のトノサマン

裁判の終盤で、御剣が成歩堂のフォローに回ります。御剣は被告人を有罪にするためなら手段を選ばないのではなかったのか。どうして自ら不利な行動を取ったのか。大きな謎を残しつつ、物語は最終話へと続きます。


第4話:逆転、そしてサヨナラ

逆転裁判における弁護士の敵とは、検事であり真犯人です。もっとも、真犯人はその話の最後に裁かれてしまうので、物語全体を通しての敵役にはなり得ません。そこで、ライバル検事にその役目が求められる……はずでした。ライバル検事・御剣が殺人容疑で逮捕されるという衝撃のオープニングで、最終話は始まります。

矢張。真宵。荷星。過去の弁護では、大した抵抗もなしに被告人の無罪を信じられました。しかし、今回弁護をするのは、敵であった御剣です。果たして、プレイヤーにとって御剣は信じられる人間なのか。この疑問を解消させる鍵となる重要場面を、以下に引用します。


イトノコ 「ワレワレには、カターい信頼関係があるッス。
      おたがいを信じてるから、いっしょにがんばれるッス。」
マヨイ  「”信頼関係”……?」
イトノコ 「御剣検事は、起訴された被告を必ず有罪にするッス。
      たしかに、行きすぎた方法を使うときもあるッス。
      でも、それは……。
      ワレワレの捜査を、信頼してくれているからこそッス。
      そして、その信頼にこたえるために、
      ワレワレは、必死で捜査をしなければならないッス。」
マヨイ  「……そうなんですか。」
イトノコ 「御剣検事は、信頼できる人物ッス!
      それだけは、この糸鋸 圭介、誓って言えるッス!」



これまで、成歩堂と御剣の対立軸は”被告人を信じるか否か”であるかのような描写がなされてきました。しかし、それは物語のテーマを把握させないようにするためのフェイクだったのです。御剣もまた信じるもののために戦っていたことが明らかになり、クライマックスに向けて物語は繋がりを見せ始めます。そして、その要となるのが、15年前に行われた”DL6号事件裁判”です。

DL6号事件裁判には、3つの大きな意義があります。1つ目は、綾里舞子の失踪の原因として。2つ目は、御剣が変わってしまった理由として。そして、3つ目が、多くの関係者に言われなき不幸を背負わせる結果となった最低の弁護としてです。DL6号事件の担当弁護士であった生倉雪夫は、被告人を全く信用していませんでした。そして、裁判に勝つことだけを考えて、「被告人には責任能力がなかった」という嘘の主張を行ったのです。生倉は被告人の無罪を勝ち取りましたが、それで事態が収拾したわけではありません。警察の捜査は打ち切られ、被告人はその後の人生を狂わされ、関係者は犯人が裁かれない無念を味わいました。この最低の弁護は、成歩堂の弁護とは対称的な位置付けにあります。被告人を信じて真実を明らかにすることで無罪を勝ち取ろうとする成歩堂と、被告人を信じず嘘の主張を行うことで無罪を勝ち取ろうとする生倉。2人の弁護士の対比によって、”弁護士のライトスタッフ(正しい資質)”という物語のテーマが浮かび上がってきます。

”弁護士のライトスタッフ”とは、公正な判決を目的に弁護することです。無罪判決はあくまで結果であって、絶対的な目的ではありません。自らの勝利のために手段を選ばないというのであれば、生倉と同じ最低の弁護士になってしまいます。成歩堂は今までどんな窮地に陥っても、思考のベクトルが常に”真実を明らかにすること”に向いていました。これは被告人の無実を信じていなければできないことです。弁護士・成歩堂の原点は、小学生時代の学級裁判にまで遡ります。無実の罪を着せられた被告人の孤独を味わったこと。そして、「法廷では証拠のみが意味を持つ!」という御剣の台詞。この2点が、”被告人を信じて真実を明らかにする”という成歩堂の基本スタンスに繋がっています。

御剣は警察の捜査を信じながらも、”真実を明らかにする”という法廷戦術をとりませんでした。しかし、それは御剣が最低の弁護の犠牲者だったからです。御剣が”有罪判決を獲得するためにはなんでもする、冷酷な男”でないことは、第3話最終日法廷パートで証明されています。成歩堂が”弁護士のライトスタッフ”を備えているように、御剣もまた”検事のライトスタッフ”を備え得る逸材なのです。

逆転裁判における理想の法廷のあり方を図にすると、以下のようになります。




弁護士は被告人の立場から無罪の可能性を検証するために存在し、検事は警察の立場から有罪の可能性を検証するために存在します。弁護士と検事は立場において完全に同格であり、そこに善悪の違いはありません。また、公正な判決のためには真実を明らかにしなければならないわけだから、成歩堂の真に戦うべき敵は”私利私欲のために真実を隠匿する者”になります。山野星雄。小中大。姫神サクラ。灰根高太郎。そして狩魔豪。キャラクターとしては一貫していませんが、概念としては見事に一貫しています。





シナリオをゲームシステムに合致したテーマでまとめあげ、段階を踏んで盛り上げていく。当たり前のように思われるかも知れませんが、これは物凄くレベルの高いシナリオライティングなんです。この点は、もっと評価されるべきだと考えます。

次回エントリーでは、上記の読解を踏まえた上でプロットの再構築を行います。


次回のエントリー:逆転裁判 (4エントリー中、2エントリー目)


公式:逆転裁判
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